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カラダのお話し◇腸内環境
2025.07.30
その他ブログ
「腸内環境を整える」とよく聞きますが、一体どういうことでしょう??
まずは、腸内環境がどうなっているのかを知ることから始めましょう(^^)
私たちの腸には、多くの腸内細菌が住んでいて、そのうちの多くは大腸に生息しています。
その数なんと100兆以上!種類にして1000種以上といわれています。
また、総重量は約1.5㎏!
私たちは1.5㎏もの細菌を抱えて、常に生活しているわけです。
これはもう「細菌を飼っている」というか、「細菌と共に生きている」といってもよいのではないでしょうか。
なぜ私たちはこんなに多くの細菌と暮らしているのか。
細菌は私たちに何をもたらしているのでしょうか。
腸内細菌の働き
【1】食物の消化
私たちが食べた食物の栄養素は、小腸までの過程でほとんど消化吸収されています。
食物繊維はヒトの消化酵素では消化できないため、そのまま大腸まで届きます。
大腸に運ばれてきた食物繊維は、大腸にいる腸内細菌がその一部を分解してくれます。
また、小腸までで未消化の炭水化物などの分解も行います。
そのおかげで、排出されるはずだったその成分を、大腸でまた吸収することができるようになります。
大腸を通過する際に、水分が吸収されて固形の便となるわけですが、固形ではあるものの、便の約80%は水分。
残り20%の内、1/3が剥がれ落ちた腸の細胞。
1/3が腸内細菌とその死骸。
残りの1/3が最終的に消化されなかった食物です。
つまり、口から入って最終的に便として体外に排出される食物は、便全体のわずか7%程。
ヒトの食物の消化吸収に、腸内細菌は大きく貢献しています。
【2】腸内を酸性に保つ
腸内は善玉菌と悪玉菌のバランスによって、酸性かアルカリ性に傾きます。
善玉菌の代表として知られているビフィズス菌や乳酸桿菌(乳酸菌の一種で細長い形をしています)などの腸内細菌は、オリゴ糖などの炭水化物を分解して取り込みます。
その際に、乳酸や酢酸をつくります。
乳酸や酢酸は有機酸なので、これらが増えると、腸内のpHが酸性に傾きます。
悪玉菌は酸性を嫌うので、悪玉菌にとっては嬉しくない環境。
善玉菌のつくり出すこれらの酸が、悪玉菌の活動を抑制するのに役立っています。
また、乳酸や酪酸は、腸の神経細胞を働かせて、腸の蠕動運動を活発にしているのではないかといわれています。
【3】過剰な免疫反応を抑える
腸内細菌は、食物繊維や炭水化物を分解する際に「短鎖脂肪酸」を産生します。
短鎖脂肪酸の代表が、先程も登場した酢酸や酪酸、プロピオン酸です。
この短鎖脂肪酸は、過剰になった免疫反応を抑える働きがあります。
本来、免疫反応は、外から侵入する有害物質から体を守るためのシステムで、免疫細胞が連携して病原菌を攻撃しますが、
時としてこの免疫細胞が、誤って自分の体を攻撃してしまうことがあります。
たとえば、大腸の粘膜組織を免疫細胞であるT細胞が誤って攻撃すると、潰瘍ができ、大腸炎をおこします。
こんな時、酪酸は未熟なT細胞の遺伝子に働きかけ、攻撃的なT細胞を制御することのできるT細胞に変化させ、炎症を抑えます。
つまりは、腸内細菌によってつくられた短鎖脂肪酸が、炎症を抑えてくれるのです。
【4】肥満を抑える
短鎖脂肪酸の酢酸には、脂肪細胞が太るのを抑える働きがあります。
脂肪細胞には、「白色脂肪細胞」と「褐色脂肪細胞」があり、
白色脂肪細胞には、ミトコンドリアがわずかしかなく、脂肪を蓄積する働きがあります。
一方、褐色脂肪細胞内には、エネルギーを産生する働きのあるミトコンドリアが多く存在し、熱をつくり、脂肪を燃焼させます。
量的には、白色脂肪細胞が大半で、白色脂肪細胞が細胞内に脂肪を溜めれば溜めるほど、私たちは太っていくことになります。
そして、膵臓から分泌される血糖値を下げる働きをする唯一のホルモン「インスリン」は、
食後に血糖値が上昇すると分泌され、血糖値を下げます。
脂肪細胞の表面にはインスリン受容体があり、この受容体にインスリンが結合すると、
ブドウ糖を取り込むたんぱく質に、細胞膜上に移動するよう指令が出ます。
細胞膜上に移動したこのたんぱく質は、血中のブドウ糖を取り込み、
このブドウ糖が脂肪に変えられ、細胞内に脂肪を溜め込みます。
一方、脂肪細胞には酢酸受容体もあり、酢酸がこれに結合すると、インスリン受容体が出す指令を止めることができます。
この働きによって、細胞内に脂肪が蓄積されるのを抑えられます。
このように短鎖脂肪酸は、重要な役割を担っていますが、
短鎖脂肪酸を増やすためには、食物繊維やオリゴ糖を摂り、腸内細菌に分解してもらわなければなりません。
そのためには、腸内細菌(善玉菌)を増やしておくことが大切です。
これが、「腸内環境を整える」ということです。
また、医学の分野では、
糖尿病、腸の炎症、自閉症など、腸内細菌が関わっていると考えられる病気があります。
ますます、「腸内環境を整える」ことの重要性を感じます(>_<)
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